令和3年度桜修館過去問 適性検査I問題分析
桜修館受検生のみなさん、こんにちは。
桜修館セミナー 講師の山田です。
今日は、令和3年度桜修館適性検査IIの問題分析をします。
大問1 算数
難易度が分かれた大問1
大問1全体として
テーマは立方体。大問1は全て、桜修館の独自作成問題。
全部で6問。令和2年度から1問増えた。前年にあった記述問題はない。
簡単な問題と難しい問題の差が激しいので、解く順番が明暗を分けたのではないか。
問題3の座標、問題5の約数など、一見すると中学校で学習する内容に踏み込んでいるようにも見える。
しかし、座標は小学4年生の「直方体と立方体」、約数は小学5年生の「倍数と約数」で学習している。
どちらも6年生では学習しないので、いかに小学校の授業をよくきいていたか、忘れていないか、
学校側は報告書以外でも判断したいのだろう。
他年度のドットプロットなどにもこの傾向はあり、今後も要注意の傾向である。
大問1問題1
やや難しい
立方体の表面に貼るシールの枚数を求める問題。
最大の難所は、立方体の表面積「cm2」、立方体の個数「個」、シールの枚数「枚」と3つの単位が本文中にある点にある。
自分がいま、どの単位の計算をしているのか、勘違いしないよう気をつけながら解こう。
なお、平成31年の大問1問題4に類題があるが、その問題とは余りの部分の扱いが異なり、
シールの余った部分は集めて使うことができない点に注意。
過去問のイメージに引っ張られすぎないように!
問題や会話文を理解する力が必須である。
もちろん、正方形の面積×6=正方形の表面積は学校レベルの公式である。
台形、円の面積など、図形の基本的な公式をしっかり押さえておきたい。
大問1問題2
とても簡単
立方体の展開図の問題。
展開図のうち、向かい合う面のペアがわかっていれば簡単に解ける。
ただし、間違えて向かい合う面を選ばないように。
聞かれているのは向かい合う面のペアではなく、向かい合わない面である。
立方体はサイコロとして身近に存在する。
身近なもののつくりを普段からよく観察しよう。
大問1問題3
難しい
立方体をしきつめ、真上から考える問題。中学校で本格的に学習する、座標の概念が登場する。
ただ座標について事前の知識は不要で、問題文に丁寧に書いてある。
また、実は空間座標にあたるものは、4年生の算数で学習しているため、その記憶があれば解くことができる。
近年の小学校の算数は私立中学受験に出題されない内容も教えられ始めたので、
私立算数の対策をしているから桜修館対策にも十分だ、とは言えなくなっている。
今一度、教科書を押さえよう。
また、点Aからの面積を聞かれていることに要注意。
うっかり点O(原点)からの面積を測ってしまうと間違えてしまう。
なお、立方体は縦にも横にも12マス分しか並んでいない。
計算上可能であっても、12マスを越える場所の点を答えることはできないことにも注意しよう。
大問1問題4
やや難しい
差集め算と条件整理の融合問題。
「○個余る」「△個足りない」といった表現から差集め算が連想されるが、
肝心の面積がわからないので、私立算数の方法を使って素早く解くことができない。
むしろ九九を使いながら適当に面積をあてはめて、その中から辻褄の合うものを解答するのが良い。
条件整理として扱ったほうがうまくいくはず。
ただし、選んだ色によってはなかなか候補が見つからず、時間がかかって焦ってしまう。
後回しにするべき。
大問1問題5
簡単
約数の問題。約数が2個か4個の数を選ぶことで正解することができる。
約数が1個しかない1や、約数が3つある4を避けることが大事。
桜修館でよく出題される、答えがたくさんある問題。
私立算数では最大公約数や最小公倍数に目が行きがちだが、
約数と公約数の違い、倍数と公倍数の違いといった、基本的な用語を理解して使えることが重要。
大問1問題6
かなり難しい
典型的な条件整理の問題。
総当たり戦(リーグ戦)の問題なので、素直に◯×表で解くのが良い。
しかし、何勝何敗なのかの情報が一切書かれておらず、◯×表以外に方法があるのではないか、と受検生を不安にさせる。
こんな時は、桜修館の鳥屋尾校長先生(当時)が説明会でおっしゃっていた、
「桜修館が条件整理の道具として使ってほしいのは◯×表です」
という言葉を信じよう。
つまりそれは、自分が勉強してきたことを信じること。
まず、1位と4位が3点差であることから、「1点、2点、3点、4点」「2点、3点、4点、5点」「3点、4点、5点、6点」
の3種類に絞ろう。
そこで詰んでしまう受検生が多かったと思われるが、大事なことは誰と誰が引き分けかを考えること。
どちらが勝ちでどちらが負けたかは2通りの組み合わせがあるが、
引き分けなら両方とも引き分けであり点数も1点なので、条件を大きく絞れる。
引き分けを利用した条件整理問題は基本パターンの一つなので、
手持ちの適性対策テキストで確実に対策したい。
(もし手持ちのテキストに総当たり戦が載っていなければそれは適性対策テキストとは言えません。
今すぐ捨てましょう。)
【大問1総評】
問題によって大きく難易度が違うので、はじめに全てに目を通してから簡単な問題から拾うべき。
おすすめの順番は、
問題2→問題5→問題1→問題3→問題4→問題6
なお算数から解き始める場合、15分で問題を6問解くことはかなり困難である。
時間で区切り、社会や理科に回るべき。
大問2 社会
大問2全体として
東京都立共通問題から選択。
林業に関する問題。木材の未来やリサイクルの方法について触れ、
資源を大切にする取り組みが複数挙げられている。
問題は2題で、どちらも資料の読み取りから記述する問題。どちらの問題も条件が多い。
近年、桜修館をはじめ公立中高一貫校ではSDGsに関する問題が多くなってきた。
山や海、農村に関することはSDGsの観点から今後も広く出題されると思われる。
大問2問題1
難しい
林業における持続可能な開発とは何か問う問題。
現在のグラフと過去のグラフから、20年後、40年後のグラフを予想してまとめる必要がある。
「人工林」と何度も書かれているので、天然林と異なり、
林業関係者の意思で生産量を調整させられる林であることに触れてほしいところ。
令和2年から連続して、資料の読み取りと自分の意見を組み合わせる問題となった。
自分の読み取った課題がSDGsから外れないものとなるようにすること。
大問2問題2
やや難しい
3つの取り組みの図から2つ選択し、それがどのような取り組みなのか説明する問題。
2つの取り組みを説明するだけならそこまで難しくないが、
選択した取り組み同士を関連づけることが難しい。
説明するとき、どちらの図から読み取れることなのか、図番号を明記することが重要。
それぞれの資料の共通点と相違点を素早く見つけよう。
【大問2総評】
平成29年以降5年連続で地理からの出題となった。課題の解決策の記述を求められた昨年よりは易化したといえる。
ただし、ヒストグラムが縦に表示されていることにひっかからないようにしよう。
令和3年の3つの大問の中では最も解きやすい。
算数・理科より先に、最初に取りかかるのがおすすめ。問題1→問題2
大問3 理科
大問3全体として
磁石に関する問題。
磁界や電磁石のような難しい知識は不要で、N極とS極が引き寄せ合うことがわかればどの問題も解ける。
出題背景には、令和3年3月に山梨県でリニアモーターカーの走行実験が開始されたことがあるだろう。
リニアモーターカーは、磁石で動く次世代の乗り物であり、SDGsの観点からも注目されている。
記述2題、解答のみ2題の合計4題構成。
大問3問題1
かなり簡単
磁石の性質さえ知っていれば解ける。S極とS極、N極とN極は反発し合うので、
それを利用すればつつを浮かすことが出来る。
(1)は、つつを浮かす4通りの磁石の組み合わせのうち、2通りが図7として書かれている。
残りの2通りのなかから1つ選び解答すれば良い。
(2)は、つつを浮かす4通りの磁石の組み合わせのうち好きなものを選択すれば良い。
ここで、図7で提示されたつつと比較しやすいものを選ぶことで説明する分量が減る。
桜修館の記述問題においては、説明しやすい選択肢を選ぶことが求められる。
どの選択肢が記述しやすいか、日々意識して選択しよう。
当たり前だが、問題文の指示にあるように、「図7の〜」という表現を必ず入れること。
大問3問題2
とても難しい
シートにおもりをぶらさげる個数を実験から予想する問題。
平成31年の理科もおもりの個数の予想問題が出ており、類題といえる。
(1)表から計算する問題。実験1と表2から必要な情報を抜き出す。
このとき、問題文にも書かれているとおり、正方形の1辺が4cmと5cmはダミー情報なので、考えに入れないように。
また、実験1の手順もどこをさしているのかややわかりにくいので、落ち着いて読み取ろう。
(2) ①と②のうち記録が大きいものがどちらなのか、考えて説明する問題。
理科の問題には珍しく、「垂直」「平行」の用語が飛び交い、算数のような雰囲気。
まず初めに気づいてほしいのは、N極とS極が平行だったり垂直だったり、というのはどんな意味を持つかということ。
表面積を考えると、シート同士が垂直なら引き寄せ合う力は弱く、平行なら引き寄せ合う力は強くなることに気づいてほしい。
次に、問題文内にある、地面と平行、地面と垂直という指示から、シート同士が平行な場合と垂直な場合のどちらに当たるのか
考える必要がある。
算数で学習した3本の直線の平行・垂直の関係を、地面と2枚のシートに置き換えて考えられるかが勝負どころ。
【大問3総評】
令和2年度よりも表が複雑化した。情報が多くなってきているので、
必要な情報と不必要な情報を、表と問題文を組み合わせて判断する必要がある。
例年、理科は得点しやすい出題が続いたが、本年はやや難しい。
理科が苦手なら、算数を先に解いてから解き始めても良い。
おすすめの解答順番は、問題1→問題2
さぁ、しっかり対策を行い、
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