第13回 子どもの学力は低下し続けているのか? 〜
ここ数年、塾・学校関係者から、「子どもの学力が年々低下している」という声をよく耳にします。
「子どもが一生懸命伝えようとしてくれているが、なんの説明をしているのかわからない。」
「文章が読めない。そもそも漢字が読めない。」
「文字や式が書けない。」
具体的には、こうした悩みを聞くことが多いです。
考える力を重視する桜修館受検生の保護者としては、看過できない問題でしょう。
子どもの学力が低下したと言われる理由は?
果たして、子どもの学力は本当に低下しているのでしょうか。
桜修館セミナーでは、子どもの学力が真に低下したとは考えていません。
では、なぜ教育関係者は同じ危機感を持っているのか。
実は、子どもが実際に失っているのは学力や思考力ではなく、「考える機会」ではないでしょうか。
コロナ禍、GIGAスクール構想のもと、公立の小学生には1人1台タブレットが配布されました。
課題提出は家からClassroomが当たり前になり、教育AI Qubena(キュビナ)が問題を生成してくれるようになりました。
いままで、三田国際や青稜など一部私立で先進的に行われてきたことが、全国レベルで広がったのです。
すると、今まで対面授業で当たり前に行われていた、みんなの前で自分の意見を発表する機会の一部が、タブレット提出に代わってしまいました。リアルタイムで同期していた意見はタブレット上で非同期になり、実際に口に出す代わりにチャットで担任の先生と話す機会もコロナ前より格段に増えました。
今まで、LINEやYoutubeの使い方を間違えて児童間トラブルになっており、一部で禁止の方向に傾きつつあったネットリテラシーは、もはや必須のものとなりました。
このような変化は、大人であれば、リモートワークやライフワークバランスなど、メリットを受けられる方が多いです。
しかし、仮に大人であっても、新入社員や転職直後で周りから技術を教わりたいとき、リモートワークはコミュニケーション上の弊害になることがわかってきています。
まして、小学生がこの変化から受けるダメージは計り知れません。
ネットの書き言葉とリアルの話し言葉のわからない子が増えています。
SNSでは文字や画像・動画を使って本音が言えても、面と向かって他の子に本音の言えない児童が増えました。
そのような中で、それこそ桜修館が求めるような論理的思考力・表現力だけが残っていると考えるほうが不自然です。
かくして、アフターコロナにおいて教育のあり方が変わってしまったことが、子どもの学力が低下したと言われる原因ではないでしょうか。
アフターコロナの桜修館対策
アフターコロナにおいても、桜修館を筆頭とする公立中高一貫校の求めるものは変わっていません。
以下3つの力が大切です。
文章や資料から適切な情報を「読み取る力」
読み取った情報の関係を考え「つなげる力」
つなげた情報を文章でわかりやすくまとめ「伝える力」
以前からそうでしたが、最近は算数(大問1)にも長文での記述回答が見られる年も増え、この傾向に拍車がかかっています。これらを養う機会が減ってきているのであれば、今まで以上に意識してそれらの力を養う必要があります。
以下、3つの力をご家庭でトレーニングする方法をまとめました。
「読み取る力」
班活動や口頭発表の機会が減り、話す・書く練習が足りなくなりました。
検索や動画で即答に触れやすくなり、理由を作る時間を確保しづらくなりました。
即答とは、正しい理解をすることなく、口で「わかった」といってしまうことです。
対策としては、日常生活において、「なぜそう言えるのか」の理由を受検生自身に言わせることです。
「青信号は渡りましょう。赤信号は止まりましょう。」それはなぜか。
または、「今夜は焼きそばです」それはなぜか。
このような家庭内で発生する日々の出来事の理由を考える習慣が大事です。
もちろん、いきなり答えを出しにくければ、「冷蔵庫の材料を見てみよう」といった誘導、ヒントを与えてあげてください。
答えの決まっていないものの方が深いトレーニングにつながりますが、最初は答えの決まっているものがよいでしょう。
ものごとから情報を読み取る手順を考えるトレーニングです。
「つなげる力」
桜修館の適性検査は、問題文・設問ともに長いため、設問の中心部分を正しく見抜く必要があります。
見抜いた上で、「読み取る力」で挙げた理由を、筋道立てて並べる必要があります。
ここは特に触れる機会が低下している箇所になりますので、「読み取る力」以上に意識してトレーニングしたいですね。
焼きそばの例で続けます。
「作る人の帰宅が遅れていて、家族がおなかをすかせています。」
「賞味期限の切れそうな野菜が冷蔵庫にたくさんあります。」
「子どもたちは麺類が好きです。」
これらの情報を読み取れたとして、問題は、これをどのような順序で並べるかです。
例えばこれらの情報を見比べて、背景を説明する出だしをつけると良いでしょう。
「空腹に耐えられないので、今から15分以内に完成する料理を作る必要があります。」
このように、読み取る時点では完璧である必要はありません。
つなげる段階で不足があれば補足しながら完成を目指しましょう。
「伝える力」
最後は「伝える力」です。
どんなに正確に読み取っても、丁寧に読み取った情報をつなげても、まとめきれなければ意味がありません。
例えば、上で読み取った情報は以下のようにまとめるのがよいでしょう。
作る人の帰宅が遅れていて、家族がおなかをすかせています。
空腹に耐えられないので、今から15分以内に完成する料理を作る必要があります。
冷蔵庫を見ると、賞味期限の切れそうな野菜がたくさんあります。子どもたちは麺類が好きなので、材料を切って洗って焼くことで完成する焼きそばを作ることにしました。
こんな感じです。主張→理由→結論 など、慣れないうちは自分で解答の型を決めておくのも有効です。
なお、桜修館セミナーでは、接続語の多用をおすすめしていません。
「しかし」「なぜなら」などは文と文をつなぐ便利な言葉です。
けれども、接続語を入れすぎると逆接や添加が多く、目まぐるしく主張が変わる印象を与えます。
また、「なぜなら〜〜〜だから」のような係り結びを忘れると減点になるため、文章構成の難易度を自分であげてしまっています。上の文のように、できるだけ接続語を使わないよう心がけると良いでしょう。
さいごに
以上、ご家庭でできる桜修館受検生向け学力低下対策についてまとめました。
桜修館セミナーでは、家庭でのやりとりを重視しています。
上で挙げたのはあくまで一例です。
各家庭に合わせた、基礎力をつけるための適切なやりとりがあるはずです。
具体的な方法については、ご相談いただければ対応いたします。
さぁ、しっかり対策を行い、
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